排尿時の痛みはカンジダ?女性のための泌尿器科相談―福岡薬院ひ尿器科コラム
トイレで排尿するたびに、デリケートゾーンがヒリヒリとしみるように痛む。でも、膀胱炎の時のような残尿感や頻尿はあまりない。その代わりに、我慢できないかゆみや、ポロポロしたおりものが気になる…。そんな症状に悩んでいませんか。
「排尿時の痛み=膀胱炎」と考え、市販薬で対処しようとする方は少なくありません。しかし、その痛み、もしかしたら「カンジダ」が原因かもしれません。原因が違えば、もちろん治療法も全く異なります。
この記事では、排尿時の痛みとカンジダの意外な関係性、膀胱炎との見分け方、そして何科を受診すれば良いのかまで、専門家の視点から詳しく解説します。あなたのその辛い悩みの正体を突き止め、適切なケアへの第一歩を踏み出しましょう。
1. 排尿時の痛みとカンジダの関係性
まず、「カンジダ」について正しく理解することから始めましょう。カンジダは、誰の体にも普段から存在する「常在菌」という真菌(カビ)の一種です。通常は無害ですが、ストレスや疲れ、抗生物質の使用などで免疫力が低下すると、異常に増殖して様々な症状を引き起こします。これが「カンジダ症」です。
- カンジダが引き起こす排尿時の痛みの特徴
カンジダによる排尿時の痛みは、細菌が原因の膀胱炎とは少し性質が異なります。膀胱炎が「排尿の終わり際にツンと痛む」ことが多いのに対し、カンジダの場合は「尿がしみるような、ヒリヒリ、灼けるような痛み」が特徴と言えるでしょう。
この痛みは、膀胱や尿道そのものが痛んでいるというより、炎症を起こして敏感になっている外陰部の皮膚や粘膜に、尿が触れることで生じる「接触痛」です。そのため、排尿の初めから終わりまで、痛みが続くことも珍しくありません。
- 外陰部や尿道への炎症の影響
カンジダ菌が増殖すると、多くは「外陰膣カンジダ症」を発症します。これは、膣内やその周辺の外陰部に強い炎症を引き起こす状態です。炎症を起こしたデリケートゾーンは赤くただれ、皮膚のバリア機能が著しく低下し、非常に敏感になります。
この無防備な状態の粘膜に、健康な人でも弱酸性である尿が触れると、強い刺激となって、灼けるような痛みを感じるのです。つまり、カンジダによる排尿痛の本体は、「外陰部の強い炎症」にあると言えます。まれに、カンジダが尿道口から侵入し、「カンジダ性尿道炎」を引き起こして、排尿痛の直接的な原因となることもあります。
2. 女性がカンジダによる排尿時の痛みを疑うポイント
「私のこの痛みは、膀胱炎?それともカンジダ?」と悩む方のために、ご自身で症状をチェックする際のポイントを解説します。ただし、これはあくまで目安であり、最終的な診断は必ず医療機関で行うようにしてください。
- 排尿痛以外のカンジダ特有の症状チェック
カンジダ症を強く疑うべきサインは、排尿痛以外の症状にこそ現れます。以下の項目に当てはまるものがないか、確認してみましょう。
* 強いかゆみ:何よりも特徴的なのが、外陰部の我慢できないほどの激しいかゆみです。
* おりものの変化:カッテージチーズ、酒粕、ヨーグルト、おからなどと形容される、白くてポロポロ、あるいはドロッとしたおりものが出ます。
* 外陰部の発赤・熱感:デリケートゾーンが赤く腫れ、熱を持っている感じがします。
* 性交時痛:炎症のため、性交時に痛みを感じることがあります。
これらの症状、特に「強いかゆみ」と「特徴的なおりもの」が排尿痛と同時に起きている場合、原因はカンジダである可能性が非常に高いと考えられます。
- 膀胱炎との違いを見極める方法
ここで、膀胱炎とカンジダ症の主な違いを整理してみましょう。ご自身の症状がどちらに近いか、客観的に判断する材料にしてください。
| 症状項目 | 膀胱炎 | カンジダ症 |
| 痛みの種類 | 排尿の終わり際にツンと痛む | 尿がしみるようにヒリヒリ痛む |
| 主な随伴症状 | 頻尿、残尿感、血尿 | 強いかゆみ、特徴的なおりもの |
| 尿の状態 | 白く濁る、血が混じることも | 通常は見た目に変化なし |
このように、注目すべきポイントは「かゆみとおりもの」です。排尿痛があっても、これらに異常がなければ膀胱炎の可能性が、異常があればカンジダの可能性が高いと推測できます。
3. カンジダが疑われる排尿時の痛みへの対処と相談
カンジダが疑われる場合、自己判断での対処は禁物です。特に、初めて症状が出た場合や、膀胱炎との区別がつかない場合は、必ず専門家に相談しましょう。
- 自宅でできる一時的な症状緩和のコツ
医療機関を受診するまでの間、少しでも症状を和らげるために以下のことを心がけてください。
* デリケートゾーンを清潔に:ただし、石鹸でゴシゴシ洗うのは禁物です。洗いすぎは善玉菌まで流してしまい、逆効果になります。ぬるま湯で優しく洗い流す程度にしましょう。
* ムレを防ぐ:通気性の良い綿素材の下着を選び、締め付けの強い服装は避けてください。湿った環境はカンジダ菌が増殖する原因となります。
* 市販薬の使用は慎重に:カンジダの再発治療薬が市販されていますが、これは以前に医師からカンジダと診断されたことがある人が対象です。自己判断で使用し、もし原因が違った場合、症状を悪化させる危険性があります。
- 泌尿器科や産婦人科での適切な診断と治療
「この症状、何科に行けばいいの?」という疑問にお答えします。
* 産婦人科・婦人科:かゆみやおりものの異常が主な症状である場合は、こちらが第一選択です。内診やおりものの検査で、カンジダの診断・治療に最も精通しています。
* 泌尿器科:排尿時の痛みがメインで、頻尿なども伴い、膀胱炎との見分けがご自身では難しい場合にご相談ください。尿検査で膀胱炎の可能性を除外し、症状からカンジダが疑われれば、適切な治療や産婦人科への紹介を行います。
どちらの科を受診しても、医師が診察すれば原因は判明します。まずは、あなたが相談しやすいと感じる方へ、勇気を出して足を運んでみてください。
当院(薬院ひ尿器科)では、女性専用外来を設け、女医による診断治療を行っております。一人で悩まず、専門家の力を頼ってください。

