TOT手術で人生が変わった?術後の本音を語る体験談―福岡薬院ひ尿器科コラム
手術と聞くだけで怖いと感じる方も多いでしょう。ましてやTOT手術ってなに?と思われる方がほとんどだと思います。TOT手術は、笑うと尿漏れするなどの腹圧性尿失禁の治療方法の一つです。比較的簡単な手術で高い治療効果が望めます。
今回は、TOT手術を受けて明るい日常生活を取り戻した一人の女性の体験談をもとに、「手術を受けてどう人生が変わったか」「術後のリアルな生活」「痛みや不安」について、お伝えしたいと思います。ただし、個人情報に配慮して、一般的な情報を交えた一部創作、物語としてお伝えします、ご了承ください。
1.60代女性のTOT手術体験
私は60代前半の主婦です。先日近くの泌尿器科の女性専用外来を受診し、TOT手術という治療を受けました。同じような年代、悩みを抱える方にお伝えしたくて体験談をお伝えします。
「笑うと漏れてしまう」「咳やくしゃみのたびにヒヤッとする」――。
そんな悩みを長年抱えていた私が、ついにTOT手術(尿失禁手術)を受けました。
最初は「手術なんて大げさかな」「恥ずかしいし…」とためらっていましたが、今では勇気を出して治療に踏み切って本当によかったと思っています。
私が受けたTOT手術は、咳やくしゃみ、スポーツなどでお腹に力が入ったときに漏れてしまうタイプ(腹圧性尿失禁)の治療の一つです。
先生の説明によると、尿道の下にメッシュ状のテープを通して、ハンモックのように支えてあげる手術だそうです。「お腹を切るわけではなく、時間も1時間くらいで終わるから体への負担は少ないですよ」と教えてもらいました。
私がこの手術を選んだ理由は、とてもシンプルでした。50代後半から笑うと尿漏れするようになり、ずっと気になって心の底から大笑いができなくなっていたんです。
「いつまでこの悩みを抱えたまま生活するんだろう?」
そう考えたとき、根本的に治してスッキリしたい!という気持ちが勝り、手術をお願いすることにしました。
正直に言うと、手術の日が決まってからも「やっぱりやめようかな」と毎晩のように悩んでいました。
痛いのはもちろん嫌だし、「もし手術しても治らなかったらどうしよう」という不安が大きかったからです。
手術前日、夜9時以降は絶食。当日の朝は、普段なら気にならないようなことも不安に感じてしまい、手が震えていました。
でも、看護師さんが「大丈夫ですよ、みんな不安ですからね」と優しく声をかけてくれたおかげで、少し心が軽くなったのを覚えています。
手術は「腰椎麻酔(下半身だけの麻酔)」で行われました。注射はチクっとしましたが、だんだん下半身の感覚がなくなっていく不思議な感じでした。
手術自体は20-30分ほど。両側の太ももの付け根あたりから処置をするそうですが、麻酔が効いているので痛みは全くなく、ボーッとしている間に「終わりましたよー」と声をかけられました。
翌日にはおしっこの管を外して、自分でトイレに行けるか確認します。
最初の1回は少し出しづらい感じがしましたが、その後だんたんとスムーズに出せるようになりました。痛みも「鎮痛剤を飲めば全然平気」なレベルで、太ももの内側に少し筋肉痛のような違和感があるくらいでした。
3日目にはシャワーも浴びられて、無事に退院。思っていたよりもずっと回復が早くて驚きました。
術後1か月を過ぎた頃、私ははっきりと「人生が変わった!」と感じました。
それまで避けていたジョギングや、友達との旅行も心から楽しめるようになったんです。
以前は「あそこに行ったらトイレはどこかな?」「パッドの替えは持ったかな?」と常に心配ばかりしていましたが、今はそんなストレスから完全に解放されました。
何より嬉しかったのは、自分に自信が戻ったこと。
「笑うのが怖い」なんて、今思うとすごく辛いことでした。思い切り大笑いできる当たり前の毎日が、こんなに幸せだなんて知りませんでした。
本当に勇気を出して泌尿器科を受診し、手術してよかったです。
2. 手術を受けてわかったこと(メリットと注意点)
いかがでしたか?尿失禁はQOLを下げる大きな要因です。早めに受診、治療、場合によっては手術という選択が未来の生活を変えていきます。
医師として治療は行いますが、患者様から教えていただくことも多いものです。一人の患者様のお声を通して、よりよい治療や次の患者様へのお声掛けにつなげていきたいと、創意工夫の毎日です。
医師として患者様から伺った、「実際にTOT手術を受けてみて感じたメリット」をまとめました。
*手術があっという間(麻酔の時間もふくめて約1時間)
*傷が小さくて目立たない
*入院が短い(3〜5日程度)
*本当に漏れなくなった!
実はデメリットもあります。起こりうる可能性は低いのですが、患者様には必ず説明するリスクです。
*全ての人に完璧、完治するものではない
*手術の一般的なリスクはある
*一時的におしっこが出にくくなることもある
*足の付け根に違和感が残る人もいる
メリットの大きい治療効果の高い手術ですが、いくつかのリスクもあることは念頭に入れて、患者様自身も治療に臨んでいただければ幸いです。
3. 怖くても、その先にあるのは笑顔
治療、ましてや手術には患者様の不安はつきものです。
同性同士だからこそ話せる悩みや不安をしっかりと受け止め、最善の治療を提供してまいります。笑顔の日常を取り戻すため、少しでも泌尿器に違和感があれば、お早めにご相談ください。

