骨盤臓器脱の手術体験談|怖がりな私が受けてわかったこと―福岡薬院ひ尿器科コラム

「骨盤臓器脱」と聞いても、ピンとこない方は多いかもしれません。 

でも実は、出産や加齢をきっかけに誰にでも起こりうる病気です。医師として多くの女性患者様を診察してきた経験を交え、患者様たちの体験談をご紹介します。

「まさか自分が…」と平和な日常が崩れていく感覚、手術を決意するまでの日々、不安で押しつぶされそうになった夜、そして術後に見えた新しい日常。

一人の女性としても共感できる患者様の心の内も含め「骨盤臓器脱の手術を受けてよかった」と言われる患者様の声をお伝えします。ただし、個人情報に配慮して、一般的な情報を交えた一部創作、物語としてお伝えします、ご了承ください。

1. 骨盤臓器脱とは?女性の体が抱えるリアルな変化

骨盤臓器脱(こつばんぞうきだつ)とは、骨盤内の臓器――膀胱、子宮、直腸など――が下がり、腟の中や外に出てくる状態をいいます。 

たとえば、次のような症状がある方は注意が必要です。

- 立ち上がると下腹部に重い感じがする 

- トイレのあとも残尿感がある 

- 長時間歩くと腟の中に「何か出てくる感覚」がある 

- 尿漏れや排便トラブルが増えた   

こうした症状は、最初は特に問題ないだろうと、治療を先延ばしされるケースがほとんどです。けれど、ある日入浴中など明らかに「何かが触れる」感覚を覚えた瞬間、これは放っておくべきではないと、急いで受診されます。

2. 手術を決意するまでの気持ちと葛藤

正直にいえば、医師である私でも「もし自分が手術を受ける」と考えると怖いと感じます。 

痛みやリスクを知っている分、不安も大きくなるのが本音です。 患者様ならば、なおさら、どんなに手術の説明を受けても、「もしうまくいかなかったら…」「入院中に排尿ができなくなったら…」と頭の中で悪い想像ばかりが広がるのではないでしょうか。

  • ある50代女性の体験談:骨盤臓器脱手術への決断とその後

50代女性です。骨盤臓器脱と診断を受け手術をし、今は快適な毎日を取り戻しました。その体験を書いていきます。受診を悩んでいる方の参考になれば幸いです。

最近、尿漏れや排便トラブルが増えたなあと感じていましたが、年のせいだと思っていました。同年代の友人たちも似たような悩みがあり、仕方ないことだと思っていたんです。

だんだん、トイレのあとも残尿感が増えたり、長く歩くとまたのあたりが違和感、何か出てくる感覚があって、怖くなって泌尿器科を探して受診しました。ありがたいことに、近所の泌尿器科は女性専用外来があり、女医さんが診察してくれてホッとしました。

骨盤臓器脱との診断で、手術を提案されましたが、正直、怖さもあって、いったんは他の治療方法をお願いしました。それでも私が手術を決断したのは、“この違和感にこれ以上支配されたくない”と強く思ったからです。

これからの人生を笑顔で過ごすために、今の怖さを乗り越えようと腹を括りました。改めて、泌尿器科の先生に相談すると、最近の手術は体への負担が少ないもの(メッシュを使わない方法など)も選べると聞き、信頼できる先生にお任せすることに決めました。

手術当日の朝は、正直、ドキドキして落ち着きませんでした。麻酔前の処置を受けながら、「これでやっと変われるんだ」と、震える自分に言い聞かせていました。

手術時間はおよそ1~2時間程度。全身麻酔だったので、気がついたら終わっていました。痛みは全く覚えていません。目が覚めたとき、下腹部に少し突っ張るような感覚と、管が入っている違和感はありましたが、一番恐れていたような「激痛」はありませんでした。

翌日にはベッドから起き上がり、少しずつ歩く練習が始まりました。「動いたほうが治りが早いですよ」という看護師さんの言葉に励まされ、できるだけ歩くよう心掛けました。

入院中は看護師さんに支えてもらいながら、自宅でもできる体操(骨盤底筋トレーニング)を教わりました。術後3日目にはスムーズに廊下を歩けるようになり、5日目には無事退院。「手術」という言葉の響きから想像していたよりも、ずっと早く、穏やかな回復でした。

今は心から「勇気を出して受けてよかった」と思います。その理由は3つあります。

*身体の不快感がウソのように消えたこと

歩くたび、トイレのたびに感じていたあの重たい違和感がなくなりました。何気ない日常の動作がこんなに楽だったなんて、忘れていた感覚を取り戻せました。

*自分をいたわる習慣がついたこと

「もう再発させたくない」という思いから、退院後も教わった体操を続けています。姿勢や重いものの持ち方など、自分の体を大切に扱う意識が芽生えました。

*前向きな気持ちを取り戻せたこと

体の不調が治ると、心まで軽くなりました。「また旅行に行きたい」「新しい趣味を始めたい」という意欲が自然と湧いてきています。

手術への不安は、誰にでもあると思います。私もそうでした。でも、今の医療技術と優しいスタッフの方々に頼れば、きっと大丈夫です。


3. 恐れよりも、明日への希望を

アフターケア、再発予防の一つとして、自宅でもできる体操(骨盤底筋トレーニング)は大変有効です。自分ひとりではトレーニングに不安がある方は、薬院ひ尿器科の座っているだけでトレーニングできるマシンもありますので、一度お試しください。

この病気は、体の構造だけでなく、気持ちまでふさぎ込ませてしまうものだと思います。でも、きちんと治療を受ければ、以前のような「当たり前の生活」と自信を取り戻すことができます。お早めにご相談ください。