女性の血尿、原因は何?放置は危険! ―福岡薬院ひ尿器科コラム
ある日突然、トイレで赤いやピンク色の尿が出たら、誰でも驚き、不安になると思います。「何かの病気だろうか?」「すぐに病院に行くべき?」と様々な考えが頭をよぎるでしょう。特に女性の場合、生理と見間違えたり、「きっとすぐ治るだろう」と様子を見てしまったりすることもあるかもしれません。
しかし、血尿は体からの重要なサインです。たとえ一度きりであったとしても、痛みがなくても、決して自己判断で放置してはいけません。
この記事では、女性泌尿器科医の立場から、女性に見られる血尿の主な原因と、なぜ血尿を放置してはいけないのか、そして血尿に気づいた時にどうすれば良いのかを、分かりやすく解説していきます。皆さんの健康を守るための一助となれば幸いです。
1. そもそも血尿とは?
血尿とは、文字通り尿に血液(赤血球)が混じっている状態を指します。これには大きく分けて2つのタイプがあります。
- 肉眼的血尿(にくがんてきけつにょう): 目で見て明らかに「赤い」「ピンク色」「茶褐色」「ワイン色」などと分かる血尿です。出血量が多い場合に起こります。
②顕微鏡的血尿(けんびきょうてきけつにょう):見た目には普通の尿と変わりませんが、尿検査で顕微鏡を使って初めて赤血球が確認される血尿です。健康診断などで指摘されることが多いです。
重要なのは、「見た目で分からない血尿(顕微鏡的血尿)も、肉眼的血尿と同様に、原因を調べる必要がある」ということです。「健診で引っかかっただけだから大丈夫」と安易に考えないでください。
2. 女性の血尿で考えられる主な原因
女性の血尿の原因は多岐にわたりますが、特に頻度が高いもの、注意が必要なものをいくつかご紹介します。
① 膀胱炎(ぼうこうえん):
女性に最も多い血尿の原因の一つです。女性は男性に比べて尿道が短く、細菌が膀胱に侵入しやすいため、膀胱炎になりやすい傾向があります。
主な症状は、排尿時の痛み(排尿痛)、頻繁にトイレに行きたくなる(頻尿)、排尿後もすっきりしない(残尿感)、下腹部痛、尿の濁りなど。炎症が強くなると、膀胱の粘膜から出血し、血尿が見られます。
比較的若い女性に多く、通常は抗菌薬で治療できますが、繰り返す場合や治りにくい場合は、他の原因も考える必要があります。
② 尿路結石(にょうろけっせき):
腎臓、尿管、膀胱などに石ができる病気です。石が尿路を移動する際に粘膜を傷つけ、出血を引き起こします。
主な症状は、突然の激しい腰背部痛や側腹部痛(いわゆる「疝痛発作」)、吐き気、嘔吐など。痛みが非常に強いことが多いですが、血尿だけが症状の場合もあります。
痛みで気づかれることが多いですが、血尿をきっかけに発見されることもあります。石の大きさや場所によって治療法が異なります。
③ 腎臓の病気(糸球体腎炎など):
腎臓は血液をろ過して尿を作る臓器ですが、そのフィルター部分(糸球体)に炎症が起こる病気(糸球体腎炎など)では、血尿(特に顕微鏡的血尿)や蛋白尿が出ることがあります。
主な症状は、血尿、蛋白尿、むくみ、高血圧など。自覚症状がないまま、健診の尿検査で偶然発見されることも少なくありません。代表的なものにIgA腎症などがあります。
放置すると腎機能が低下し、将来的に透析が必要になる可能性もあるため、早期の診断と適切な管理が重要です。
④ 悪性腫瘍(がん):膀胱がん、腎がん、尿管がんなど
これが最も注意すべき原因です。特に膀胱がんは、血尿が最初の症状であることが非常に多いです。
主な症状は、痛みを伴わない肉眼的血尿が典型的なサインとされています。一度血尿が出ても、自然に止まることがあるため、「治った」と勘違いしやすいのが怖いところです。頻尿や排尿痛を伴うこともあります。腎がんや尿管がんでも血尿が見られます。
特に中高年の方、喫煙歴のある方はリスクが高まります。がんは早期発見・早期治療が予後を大きく左右します。**「痛くないから大丈夫」は絶対に禁物です。
⑤ その他:
・激しい運動後:一時的に血尿が出ることがありますが、通常は安静にすれば治まります。
薬剤性:血液をサラサラにする薬(抗凝固薬など)の影響で血尿が出ることがあります。
・外傷:腰などを強く打った後に血尿が見られることがあります。
遊走腎、ナットクラッカー症候群:腎臓の位置異常や血管の圧迫などが原因で血尿が出ることがあります。
・婦人科系の出血との鑑別:不正性器出血などが尿に混じり、血尿と間違われることもあります。
原因が何であれ、診断が遅れれば適切な治療を開始するのも遅れます。早期に治療を開始すれば、より早く症状を改善させ、合併症を防ぐことができます。
「そのうち治るだろう」「恥ずかしいから」といった理由で受診をためらわないでください。一度でも血尿に気づいたら、それは体からの重要なメッセージだと受け止め、必ず専門医の診察を受けるようにしましょう。
3. 女性の血尿についてのまとめ
女性の血尿は、ありふれた膀胱炎から、時に命に関わる悪性腫瘍まで、様々な原因によって引き起こされます。大切なのは、「たかが血尿」と軽視せず、「血尿=体からのSOSサイン」と捉え、速やかに専門医(泌尿器科)を受診することです。
早期に原因を特定し、適切な治療を受ければ、多くの病気は改善が期待できます。ご自身の体のサインを見逃さず、健康で安心な毎日を送るために、勇気を出して一歩踏み出しましょう。
薬院ひ尿器科でも、「女性医師による、女性患者様のめの、女性外来」を設けております。
一人で悩まず、当院へご相談ください。
私たちは、皆さんが安心して相談できる環境を整えてお待ちしています。

