更年期以降は特に注意。女性の泌尿器にできるがんとは―福岡薬院ひ尿器科コラム

「最近トイレが近いのは、歳のせいかな」「また膀胱炎みたいだけど、いつものこと」そんな風に、体の小さな変化を見過ごしてはいませんか。特に更年期を迎えると、女性の体は大きく変化し、様々な不調が現れやすくなります。しかし、その不調の影に、見過ごしてはならない病気が隠れている可能性もあるのです。

それは、泌尿器にできる「がん」です。女性の泌尿器がんは男性に比べて少ないものの、膀胱炎や婦人科系の病気と症状が似ているため、発見が遅れることも少なくありません。だからこそ、正しい知識を持つことが何よりも大切になります。

この記事では、女性が特に注意すべき泌尿器のがんについて、そのサインやリスクを詳しくお伝えします。「自分は大丈夫」と思わず、あなた自身の体を守るために、ぜひ最後までお読みください。

1.血尿は絶対に見逃さないでください

泌尿器のがんにおいて、最も重要で、そして絶対に見逃してはならないサインが「血尿」です。たとえ一度きりであっても、痛みがなくても、尿に血が混じるのは異常事態です。膀胱炎でも血尿は出ますが、「痛みがないのに血尿が出た」という場合は、特に注意深くならなくてはなりません。

多くの人が、「疲れているだけだろう」「すぐに治まるだろう」と様子を見てしまいがちです。しかし、がんの初期症状である血尿は、出たり止まったりを繰り返すことがあります。一度血尿が止まったからといって、安心できるわけではないのです。

この最初のサインを捉えられるかどうかで、その後の治療結果が大きく変わる可能性があります。がんは、早期に発見できれば、体への負担が少ない治療で治せる可能性が高まります。血尿という体からの警告を、「気のせい」や「いつものこと」で済ませずに、すぐに専門医を受診しましょう。

2.女性ホルモンの減少が関係

更年期以降の女性が泌尿器のがんに注意すべき背景には、女性ホルモン「エストロゲン」の減少が深く関わっています。エストロゲンには膀胱がんの発生を抑える予防的な効果がある可能性が動物実験の結果などから指摘されています。​

若い頃は豊富に分泌されるエストロゲンも、閉経期を迎えると急激に減少します。この変化により、これまでホルモンが担っていたがんに対する防御力が弱まる可能性が指摘されているのです。実際に、閉経年齢が早い女性ほど尿路上皮がんのリスクが高まるという研究報告もあります。​

もちろん、がんの発生はホルモンだけの問題ではありません。最大の危険因子は「喫煙」であり、喫煙者は非喫煙者と比べてリスクが数倍に高まります。

また、繰り返す膀胱炎などの慢性的な炎症もリスクを高める要因です。特に閉経後はエストロゲンの減少によって膣の自浄作用が低下し、膀胱炎を誘発しやすくなるため、注意が必要です。ホルモンの変化と生活習慣の両面からリスクを理解し、対策することが大切です。

3.女性が知るべき泌尿器のがん

女性の泌尿器に発生するがんは、主に「膀胱がん」と「腎盂・尿管がん」「腎臓がん」が挙げられます。それぞれの特徴を知っておきましょう。

*膀胱がん

泌尿器のがんの中で最も多く、膀胱の内部を覆う尿路上皮という粘膜から発生します。

最も代表的なのは、痛みを伴わない肉眼的な血尿です。その他、頻尿、排尿時の痛み、残尿感など、膀胱炎とよく似た症状が現れることもあります。このため、「また膀胱炎がぶり返した」と自己判断してしまい、発見が遅れるケースがあるので注意が必要です。進行すると、下腹部や腰の痛みが出ることもあります。

*腎盂・尿管がん

腎臓で作られた尿が集まる「腎盂」や、尿を膀胱まで運ぶ「尿管」にできるがんです。膀胱がんと同じく尿路上皮から発生するため、性質も似ています。

こちらも最も多い症状は血尿です。がんによって尿の流れが妨げられると、背中や脇腹に痛みが生じることもあります。膀胱がんと腎盂・尿管がんは、同時に、あるいは時期をずらして発生することもあるため、片方が見つかった場合はもう一方も詳しく検査する必要があります

*腎臓がん

腎臓にできるがんのことで、泌尿器科領域の主要ながんの一つです。​

膀胱がんや腎盂・尿管がんが尿路の粘膜(尿路上皮)から発生するのに対し、腎臓がんは腎臓の本体部分から発生します。​

初期段階では症状がほとんどないことが多く、健康診断の超音波(エコー)検査などで偶然発見されるケースが約8割を占めます。進行すると、血尿、腹部のしこり、わき腹の痛みといった症状が現れることがあります。​

4.「いつもと違う」が受診のサイン

更年期は、ただでさえ心身の不調が多い時期です。だからこそ、普段と違う体のサインに気づいても、「また更年期の症状だろう」と、つい思い込んでしまいがちです。しかし、その「いつもと違う」という感覚こそ、病気の早期発見につながる最も大切なアンテナなのです。

「一度だけだったけど、血尿が出た」「膀胱炎の薬を飲んでも、症状がすっきりしない」そんな小さな違和感を、決して無視しないでください。泌尿器科を受診するのは勇気がいることかもしれません。しかし、検査をして「異常なし」とわかるだけでも、大きな安心が得られます。

がんは、もはや不治の病ではありません。特に泌尿器のがんは、早期発見によって、あなたの生活を大きく変えることなく治療できる可能性が高い病気です。あなた自身の健康と、これからの輝く人生のために、どうか勇気を出して、泌尿器の専門医の扉を叩いてみてください。